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86年間、懸命に生きた母が老衰で息を引き取りました。病院の先生をはじめ、看護師さんやヘルパーさんが揃う中、私は母の最期の瞬間を看取ることができました。
今年私は63を迎え、生活保護を受けながら日々を過ごしています。最近やっと自分の終活というものを考え出し、市民のお葬式さんで生活保護葬の生前予約も済ませたところでした。兄弟はいませんが可愛い孫たちがたまに顔を見せに来てくれていて、そのたびに年を取った自分を顧み、同時に入院中の母を思い出していました。母は私が小さなころに離婚をし、女手一つで育ててくれました。病気は一切しない母でしたが、ある日調子が悪いと病院に通うようになっていました。そんな中でも私はいい年して母を労わるようなこともせずただひたすらに自分の明日のことだけ考えて生きてきました。
特段母の体に病気がない事は後日の検査で知りましたが、その間私はせめてもの親孝行として何かできることがないかと考えに考え、最期の心配ぐらいはさせまいと思い行き着いたのが市民のお葬式さんだったんです。友人からの紹介で私と母の生前予約をしてもらうことにしました。当日わざわざうちまで来てくれたスタッフさんに、私はわからないことをたくさん聞いてしまいました。一番の心配は、生活保護を受けていても葬儀ができるのかという事。市からもらっているお金も微々たるものですから、いざ葬儀となったら誰がお金を払ってくれるのか?そして葬儀費用はいくらなのか?という心配がありました。とても感じの良い女性スタッフさんは、
「ご安心ください。葬儀になったら手続きを任せて頂ければ、お母様のお葬儀やお客様の葬儀費用のご負担はございません。」
と言ってくれた時、こんなのがあったのかとびっくりしてしまいました。なんでも、この会社は生活保護葬を専門的にされているそうで、私は深く安堵しました。その日は母と私の生前予約をさせて頂き、さっそく母に電話しました。しばらく母の声は聴いていませんでしたが、この日はひどくやつれた様子の声で少し心配になりました。
「お母さんの万が一は心配しなくていいよ!」と半ば冗談で言いましたが、若干嫌な予感はしていました。
それから大体1か月が経ったころ、お医者さんから母の危篤を突然知らされました。危篤とはこんなに急で精神をすり減らすものなんですね。母のもとに到着したころにはたくさんの人が病室に集まっていて、私は母の横まで通してもらいました。そしてすぐ母の手を握って、ただひたすら謝り続けました。
「ごめんなさい。こんな年まで何もできなくて、ごめんなさい。」
母にかけた言葉はこれしか記憶にありません。ですが、その間も母は微笑みながら私の頭を撫でていてくれました。
母を看取り、市民のお葬式さんに電話をして迎えに来てもらいました。私の家に近いところに母を安置してくれて、体も綺麗に整えてくれました。生前予約をしていたことで母と一緒に一泊同じ部屋で過ごすことができました。スタッフさんは火葬の日まで私と母が離れないように助けて下さいました。本当に感謝しています。私が死んだら母には謝らなければいけない事がたくさんあるのでしょうが、市民のお葬式さんのお陰で、不甲斐ない私でもたった一度親孝行ができたのではないかなと思えるようになりました。こんな素晴らしい葬儀を作ってくれて、ありがとう。私のときもどうかお願いしたいと思っています。

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